野球投手の成績指標「防御率」:その意味、計算方法、そして歴代ランキング

野球

この記事は、野球において投手のパフォーマンスを判断するための重要な指標である防御率に注目しています。防御率がどのようなものか、その計算の仕方、そして歴史を通じて卓越した防御率を達成した投手たちのランキングについて紹介しています。
この記事を通して、防御率がどのようにして投手の技術や能力を表しているのかを詳細に解説します。

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防御率についての解説

防御率とは、野球において投手が理論上9イニングを投球した場合に平均で何点を許すかを示す指標です。数値が低いほど、少ない得点を許す優秀な投手とみなされます。

ここでいう「得点」は、自責点のことを指します。これは投手自身のプレイが原因で許した点数を意味し、四球や安打などで失点した場合に自責点として記録されます。

一方で、野手のエラーが原因での失点は、投手の責任とはされず、自責点には含まれません。このようにして、防御率は投手の実際のパフォーマンスをより正確に表すことができます。

防御率の算出方法について

防御率は、以下の計算式に従って算出されます。

【防御率の計算方法】
防御率 = 自責点の合計 × 9 ÷ 投球イニングの総数

※1/3イニングや2/3イニングなどの場合は、小数点に換算して計算します。
・1/3イニングは約0.33イニング
・2/3イニングは約0.66イニング

実際の防御率の計算例
ここでは、いくつかの具体例で防御率の計算方法を見ていきましょう。

【例1】9イニング投げて自責点が3点の場合
計算式: 「3(自責点)」× 9 ÷ 「9(投球イニングの総数)」= 3.00
このケースでは、自責点がそのまま防御率となります。

【例2】3試合にわたる投球結果での防御率
1)3イニングで自責点が6点
2)7イニングで自責点が4点
3)9イニングで自責点が1点

初めに、自責点と投球イニングの合計を出します。
・自責点の合計 = 6 + 4 + 1 = 11
・投球イニングの総数 = 3 + 7 + 9 = 19

このデータを式に当てはめます。
計算式: 「11(自責点の合計)」× 9 ÷ 「19(投球イニングの総数)」≈ 5.21
この投手の防御率は5.21となり、9イニング平均で約5点を許すことを意味します。

【例3】188回2/3イニングを投げ、自責点が60点の場合
2/3イニングを小数点形式に変換して計算します。
計算式: 「60(自責点)」× 9 ÷ 「188.66(投球イニングの総数)」≈ 2.86
この投手の防御率は2.86で、9イニングにおいて平均約2~3点を許すことになります。

中継ぎ投手の防御率評価の複雑さについて

中継ぎ投手の能力を防御率だけで評価するのは一筋縄ではいかないことがあります。防御率は投手が許した失点の割合を示す明確な指標であり、特に長時間のイニングを投げる先発投手に対しては非常に有効です。

しかし、中継ぎ投手の場合、防御率は失点ではなく自責点に基づいて算出されるため、評価が難しくなる場合があります。

例えば、以下のようなシナリオを考えてみましょう。

あるイニングで、2アウトの場面で投手Aが打者に四球を与え、ランナーを1塁に置きます。その後、投手Aが投手Bに交代します。投手Bは次の打者に三塁打を許し、1点の失点が生じます(2アウト3塁)。その後、投手Bは次のバッターをアウトにしてイニングを終えます。

このケースでは、降板時にランナーを残していた投手Aに自責点が加算される一方で、失点を許した投手Bには自責点が記録されません。このような状況があるため、中継ぎ投手の実際のパフォーマンスを防御率のみで判断するのは困難です。

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最優秀防御率賞の概要

最優秀防御率賞は、日本プロ野球においてシーズン全体で最も低い防御率を達成した投手に授けられる栄誉深いタイトルです。これは投手にとっての重要な栄誉の一つに数えられます。

この賞を獲得するためには、シーズン中の規定投球回数を満たしている必要があります。規定投球回数の基準は以下のように設定されています。

・日本プロ野球の規定投球回数
1軍:各チームのシーズン総試合数×1.0
2軍:各チームのシーズン総試合数×0.8

たとえば、2022年シーズンでは各チームが143試合を予定しているため、規定投球回数は143イニングになります。

また、過去5年間のセ・リーグとパ・リーグでの最優秀防御率賞受賞者のリストも掲載されており、受賞者の名前、所属チーム、記録した防御率、投球イニング数、自責点が詳細に記されています。

過去5年の最優秀防御率受賞者の一覧

【セントラル・リーグの最優秀防御率受賞者】

年度  選手名     所属チーム     防御率  投げたイニング  自責点
2017  菅野智之    読売ジャイアンツ   1.59   187.1イニング   33点
2018  菅野智之    読売ジャイアンツ   2.14   202イニング    48点
2019  大野雄大    中日ドラゴンズ    2.58   177.2イニング   51点
2020  大野雄大    中日ドラゴンズ    1.82   148.2イニング   30点
2021  柳裕也     中日ドラゴンズ    2.20   172イニング    42点

【パシフィック・リーグの最優秀防御率受賞者】

年度  選手名     所属チーム         防御率  投げたイニング  自責点
2017  菊池雄星    埼玉西武ライオンズ     1.97   187.2イニング   41点
2018  岸孝之     東北楽天ゴールデンイーグルス 2.72   159イニング    48点
2019  山本由伸    オリックス・バファローズ   1.95   143イニング    31点
2020  千賀滉大    福岡ソフトバンクホークス   2.16   121イニング    29点
2021  山本由伸    オリックス・バファローズ   1.39   193.2イニング   30点

これらのプロ野球の記録や成績は、日本野球機構の公式ウェブサイトで確認できます。

歴代プロ野球防御率トップ5の紹介

ここでは、プロ野球の歴代防御率トップ5を振り返ります。

※注意点
1/3イニングや2/3イニングなどの投球イニングは、小数で表記しています。
・1/3イニング → 0.1
・2/3イニング → 0.2

たとえば、「投球回数」が1.2の場合、それは1イニングと2/3を意味します。

【歴代防御率トップ5(2021年度シーズン終了時点)】

順位 選手名   所属チーム    防御率   年度   投球イニング 自責点
1位  藤本英雄  東京巨人軍   0.73   1943年  432.2イニング 35点
2位  景浦将   大阪タイガース 0.79   1936年秋 57イニング   5点
3位  沢村栄治  東京巨人軍   0.81   1937年春 244イニング   22点
4位  野口二郎  大洋軍     0.88   1941年  338イニング   33点
5位  林安夫   朝日軍     0.887   1943年  294イニング   29点

リストに名を連ねているのは一リーグ制時代の選手たちで、彼らはいずれも0点台の防御率を達成しています。

0点台の防御率は非常に優れた成績で、現在の打者優位のプロ野球においてはこの記録を超えるのは難しいでしょう。しかし、日本には才能ある投手が数多く存在し、彼らが将来このランキングに名を刻むことを期待しています。

防御率に関する解説と計算法の要約

本記事では、野球における防御率について詳しく解説してきました。改めてお伝えすると、防御率は「投手が1試合(9イニング)にどの程度の点を許すか」を示す指標です。

防御率の計算方法は次のとおりです。

・防御率の計算式
「防御率」=「自責点の合計」× 9 ÷「投球したイニング数」

※1/3イニングや2/3イニングの投球があった場合は、それを小数点形式で計算します。
・1/3イニングは約0.33イニングとして
・2/3イニングは約0.66イニングとして計算

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