2022年春以降、新しいルールが導入
試合進行について(詳細解説)
甲子園は「高校野球の聖地」として知られ、多くの球児が憧れる舞台です。しかしながら、夏の大会では例年、梅雨や台風の影響で天候が不安定になることが多く、特に2021年夏の第103回全国高等学校野球選手権大会では、連日の雨天順延が大きな話題となりました。
例えば、同大会では8月16日から3日間連続で全試合が中止となり、一部のチームは1回戦の試合が開始されるまでに1週間以上の待機を強いられたこともあります。選手たちは調整が難しく、精神的・肉体的な負担も大きく、指導者やファンの間からも「何か対応策が必要ではないか」という声が高まっていました。
新ルールの導入背景
このような事態を受けて、日本高等学校野球連盟(高野連)は、試合運営の見直しを検討。そこで2022年春の「第94回選抜高等学校野球大会」から、新たに**「継続試合」**の制度を導入することを決定しました。
継続試合とは?
継続試合とは、悪天候などにより試合が中断・中止された際、それまでの試合経過(スコアやイニング、出場選手の状況など)をそのまま記録し、翌日以降に中断時点から再開する制度です。従来は一度中止になると「ノーゲーム(試合成立せず最初からやり直し)」となっていましたが、これを改めてよりスムーズな大会運営を可能にしました。
継続試合の具体的なルール
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対象となるのは9回以前での中断(※9回終了時点で同点など、延長戦中の中断には別ルールが適用)
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試合が中断した時点のスコア・走者・カウントを記録して再開
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出場選手の交代状況も継続されるため、同じ選手が再登場することはできない
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再開日は原則として翌日以降の大会日程に順次組み込まれる
この制度により、選手の体力的・精神的負担の軽減や、日程の効率的な運用が期待されています。
なぜ重要な変更なのか?
このルール変更は、甲子園に限らず地方大会や他の全国大会でも今後の運営に大きな影響を与える可能性があります。特に日本の夏は突然の雷雨や長雨が多いため、継続試合の導入は現実的かつ柔軟な対応策といえるでしょう。
また、ノーゲームによって苦労して得た得点や戦術がすべて無効になる不条理さが解消され、よりフェアな試合運営が実現しました。
「継続試合」とは?
「継続試合」は、不利な天候などの理由で試合を当日に続行できなくなった場合、試合が中断したポイントから翌日以降に再開し、勝敗が決まるまで(通常は9回)試合を続けるルールです。
継続試合の要点を以下にまとめてみました。
試合が延長戦またはタイブレーク中だった場合はどうなるのか?
中断した場面から再開し、勝敗が決まるまで試合を続行します。
選手の交代は可能なのか?
中断時点での出場選手と打順を変更せずに続行する必要がありますが、一部の規則に従い選手交代が認められる場合もあります。ただし、途中で交代していた選手は再度出場することはできません。
大差がついている場合(例:「10-0」)はどうなるのか?
中断した時点の得点差に関係なく、勝敗が決まるまで試合を続行します。
甲子園での試合終了の条件が変更されることに
新ルールの導入に伴い、これからは「コールドゲーム」と「ノーゲーム」という条件はなくなります。
これまで、高校野球の甲子園大会では、試合が7回を完了すると「正式試合」とみなされていました。
従来のルールでは、雨などの理由で試合を続行できない場合に、次のような状況が生まれました。
継続試合の背後にある理由
「継続試合」の採用には、以下の理由が影響を与えました。
2.選手たちの負担を減らすための措置として導入されました。
球数制限による公平性確保
2021年夏における2試合の「降雨ノーゲーム」と1試合の「降雨コールドゲーム」により、選手たちにとって大きな負担が発生しました。
さらに、2020年春からは「1週間における1人の投手の投球数は500球以下」という制限が導入されました。ノーゲームの場合でも投球数は制限内にカウントされ、他のチームとの公平性に関する不安が存在しました。
「2021年の夏、甲子園大会で「継続試合」の導入がきっかけとなったのか?」
2021年の夏、甲子園大会で「継続試合」が導入された背後には、非常に雨の多い大会が開催されたことが影響していると言えます。
第103回全国選手権大会では、雨天によるノーゲームが2試合も発生し、さらには23年ぶりに降雨コールドゲームが行われたことが注目されました。
降雨ノーゲームとなった試合は次の通りです。
- 明桜(秋田)対帯広農(北北海道)
- 近江(滋賀)対日大東北(福島)
また、23年ぶりに行われた降雨コールドゲームは次の試合で発生しました。
大阪桐蔭(大阪)対東海大菅生(西東京)
この試合では、大阪桐蔭が7対4で東海大菅生に3点リードしていましたが、8回表1死の時点で試合は降雨のため中断し、最終的に降雨コールドゲームとなりました。大阪桐蔭は序盤から得点を重ね、試合を優位に進めていましたが、東海大菅生も8回表で3点を追いかける激しい攻撃を見せ、一発が出れば同点に追いつけるチャンスがあった状況での中断となりました。
この大会では序盤から雨による順延が多く、既に日程が逼迫していた状況でした。そのため、降雨コールドゲームが行われるまで試合を引き伸ばす必要があり、結果的に「日程が最優先されているのではないか」といった声も一部で聞かれました。
プロ野球では、どうなるのか気になりますね。
プロ野球にも「継続試合」というルールが存在するのでしょうか?
実際には、プロ野球においては「継続試合」というルールは適用されていません。
プロ野球の場合、試合は5回を完了した時点で正式な試合と見なされます。
プロ野球において、降雨などで試合の続行が不可能と判断された場合、
試合が成立前(5回を完了していない場合)には、「降雨ノーゲーム」となり、別の日に再試合が行われます。個人成績は、正式な試合として成立した場合にのみ記録されます。
試合が成立後(5回を完了している場合)には、「降雨コールドゲーム」となり、その時点でリードしている球団がそのまま勝利とみなされます。
まとめ: 高校野球の継続試合
これまで、第94回選抜高等学校野球大会から導入された「継続試合」について詳しく説明してきました。
選手たちにとって、日々の練習の成果を甲子園の大舞台で最大限に発揮できることを願っています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。