野球の守備力を測る指標「UZR」について解説

野球

野球のファンにとって、“UZR”という言葉はあまり聞き慣れないかもしれません。

実際、野球の試合中継やスポーツニュースでUZRについて触れられることはめったにありません。

このため、「UZRが実際に何を示しているのか」を理解するのは難しいかもしれません。

そこで、この記事では野球選手の守備力を評価するのに役立つUZRという指標にスポットライトを当て、その定義や計算方法について分かりやすく説明します。

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野球の守備力を数値化する「UZR」とは

野球において「UZR」とは、「Ultimate Zone Rating(アルティメット・ゾーン・レーティング)」の略であり、選手の守備能力を数値で表すために使われる重要な指標です。

このUZRは、選手が同じシーズン内で同じリーグ、同じポジションの他の選手と比べて、守備でどれだけ得点を防いでいるかを示すために用いられます。

UZRの数値が大きいほど、その選手は守備においてチームに多大な貢献をしていると言えます。

野球のUZR計算の複雑さとその手順

UZRとは、野球での選手の守備能力を数値化するための複雑な指標です。この計算には高度な技術と大量のデータが必要で、一般的には計算が困難です。

ここでは、UZRを算出するための基本的な手順をご紹介します。

UZRの算出手順:
  1. 野球場のフィールドを複数のゾーンに分け、各守備位置の担当エリアを設定します。
  2. それぞれのゾーンに到達する打球の速さや種類(例:ゴロ、フライなど)を記録します。
  3. 各ゾーンにおける打球のアウト率を分析し、リーグの平均値を求めます。
  4. 同ポジションの他の選手と比較して、選手の守備能力を評価します。
  5. 守備成績に得点価値を適用し、プラスまたはマイナスの評価を行います。
  6. これらの評価を合計して、選手のUZRを算出します。
このようにしてUZRが算出されますが、プラス評価やマイナス評価の具体的な計算方法については、「得点価値」という概念を理解する必要があります。

次に、UZRのさらなる詳細な計算方法について説明します。

野球におけるUZR計算の重要要素「得点価値」

UZRは野球選手の守備効果を点数で評価するための指標で、計算において「得点価値」が非常に重要な役割を果たします。

得点価値の概要
野球における各プレイには、過去のデータを基にした特定の価値が割り当てられています。例えば、以下のような場合があります。

外野で安打が出ると、チームの失点が平均で約0.56点増えます。
アウトを取ると、チームの失点が平均で約0.27点減ります。
したがって、本来外野で安打となるような打球をアウトに変えると、「約0.83点(0.56+0.27)の失点を防いだ」と評価され、その打球の得点価値は0.83点と見なされます。

UZR計算における守備の評価法

UZRの計算における守備の評価をもっと詳しく見てみましょう。

例として、過去のデータから外野へのライナーが75%の確率で安打になるシチュエーションを考えます。この場合、打球は25%の確率でアウトになり、その内センターが15%、レフトが10%の確率でそれを実現できるとします。

守備の結果によって、選手がどのような評価を受けるかを検討します。

プラス評価の場合
例えば、センターがこの打球をキャッチしてアウトにした場合、通常25%の確率でしかアウトにならない打球を成功させたため、センターはその差分である0.75の評価を得ます。

この打球の得点価値0.83と0.75の評価を掛け合わせた結果、センターのUZRは0.6255点となります。これは、センターがチームの失点を0.6255点減らしたことを示します。

野球における守備ミス時のマイナス評価の仕組み

野球において、守備プレーでヒットを許した場合、センターとレフトの選手はマイナスの評価を受ける可能性があります

このシナリオでは、本来アウトにできる確率が25%あったにもかかわらず、ヒットになってしまうと0.25の損失が生じます。

アウトにする可能性があった選手は、この損失を担当割合に応じて負担します。センターとレフトが負うべき割合は次のようになります。

  • センター:全体の60%を負担(0.15÷0.25=0.6)
  • レフト:全体の40%を負担(0.1÷0.25=0.4)

この例では、0.25の損失のうち、センターが60%相当の0.15、レフトが40%相当の0.1をそれぞれ負担します。

この損失の数値に打球の得点価値0.83を掛け合わせて、センターとレフトのUZRを算出します。

  • センターのUZR:0.15×0.83=0.123
  • レフトのUZR:0.1×0.83=0.083

この結果、センターはチームの失点を0.123点、レフトは0.083点増加させたとしてマイナス評価を受けます。

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UZR計算での補正処理

UZRの計算では、選手に与えられるプラス評価とマイナス評価を定めた上で、ランナーの配置、アウトカウント、球場の特性など、様々な要因を考慮して値を補正します。これにより、選手の最終的なUZRが決定されます。

UZR計算で考慮しない特定の打球

UZR計算では、以下のような打球は計算から除外されます。

内野フライ:内野フライは通常容易にアウトにできるため、UZRの計算には含まれません。内野ライナー:内野へのライナーは偶然性が高く、守備能力の評価に適していないとされています。

野球におけるUZRの評価基準とその注意点

野球でのUZRは、選手の守備力を評価するための基準に基づいています。UZRは相対的な評価システムで、平均は0とされています。

UZRによる守備評価の目安は以下の通りです。

+15: ゴールデングラブレベル
+10: 高い守備力
+5: 平均以上
0: 平均
-5: 平均以下
-10: 低い守備力
-15: 非常に低い守備力
UZRを用いた守備能力評価の際に注意すべき点は以下の通りです。

投手・捕手の守備評価に不適: 投手と捕手は限られた守備範囲を持ち、通常UZRはこれらのポジションに適用されませんが、特別な方法で算出する例も存在します。
出場試合数の影響: UZRは各プレイを累積して算出されるため、出場試合数が多い選手は変動幅が大きくなる可能性があります。そのため、異なる試合数の選手を比較する際は「UZR/1000」を使用することが望ましいです。
年度、リーグ、ポジションによる比較の難しさ: UZRは同年度、同リーグ、同ポジションの選手との比較に基づいているため、異なる条件での比較は難しいです。また、時の経過に伴う守備力の変化を直接測定するのも困難です。

野球の守備評価指標UZRに関する概要

本記事では、野球の守備能力を数値で表す指標「UZR」について詳しく解説しました。ここでは、その主なポイントを簡潔にまとめます。

野球におけるUZRとは?

選手の守備力を定量的に示す指標です。
同じ年、同じリーグ、同じポジションの選手と比べて、守備でどれだけ失点を抑えたかを測定します。
UZRが高い選手は、守備において優れており、チームの得点防止に大きく貢献しています。
UZRの計算は複雑で、個人レベルでの算出は一般的に難しいとされます。
UZRを活用する上での留意点

通常、投手や捕手の守備力の評価にはUZRは使用されません。
選手の出場試合数がUZRに影響を及ぼす可能性があります。
異なる年度、リーグ、ポジションの選手同士の比較は、UZRを用いても難しいです。
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。